法律Q&A
車両時価額を超える修理費用が損害として認められる場合はあるか

修理費用が車両時価額等を超過する場合、原則として、車両時価額等を超える修理費用を損害として請求することはできません(経済的全損)。
しかし、例外的に車両時価額等を超過する修理費用が損害として認められたケースもあります。
裁判例(大阪高判平成9年6月6日)は、①事故車両と同種同等の自動車を中古車市場において取得することが至難である場合、②車両所有者が、中古車市場で代物を取得する費用を超過する修理費用をかけて修理を行ない、引き続き使用することを希望することが社会観念上是認するに足る相当の事由がある場合には、車両時価額等を超える修理費用が損害として認められるとしています。
ただし、この裁判例は、自動車の愛着という個人的・主観的事情は②の事情に当たらないと判断しています。