清水 恒一のブログ
使用済み品の「下取り」の廃棄物処理法、古物営業法上の扱い
2025年04月28日

電化製品などによくありますが、新品を購入する際に、使用済み品を下取りに出すことがあります。
新品の販売業者が、使用済み品を有償で下取りする場合、古物の買取行為として、古物営業法上の古物営業の許可が必要とも思えます。
また、使用済み製品を無償で下取りする場合には、廃棄物の引き受けとして、廃掃法上の廃棄物収集運搬の許可が必要とも思えます。

1 古物営業法との関係
この点について、通知(令和4年4月1日付け警察庁丁生企発第199号)において、新品を販売する業者が行なう下取りが、いわゆる「サービス」として行なう値引きとして捉えることができるときは、古物営業に当たらないと解釈されています。
また、「サービス」として行なう値引きといえるかの基準について、①下取りした古物の対価として金銭等を支払うのではなく、販売する新品の本来の売価から一定金額が差し引かれる形であること、②下取りが「サービス」の一環であるという当事者の意思があること、③下取りする個々の古物の市場価格を考慮しないことの各要件を満たす場合には、「サービス」として行う値引きといえるとしています。
使用済み品を査定した上で値引き額を決定するような場合には、下取り対象となる特定の古物の市場価格を考慮しているといえますので、③の要件を満たず、古物営業の許可が必要となります。

2 廃掃法との関係
この点について、通知(平成12年9月29日付け衛産第79号)において、「新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要である」と解釈されています。

3 無許可営業の罰則
前述のとおり、一定の要件を充足する場合には、古物営業法、廃掃法の業の許可を得ずに使用済み品を下取りすることが可能と解釈されています。
他方、要件を充足しない場合には、業の許可が必要になります。
業の許可が必要であるにも関わらず、無許可で下取りを行なった場合、古物営業法ないし廃掃法の罰則の対象となります。
無許可営業の場合、古物営業法は、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその両方(古物営業法31条及び36条)、廃掃法は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその両方(廃掃法25条)の罰則を定めています。
さらに、無許可営業は業の許可の欠格要件となるため、一定期間、業の許可を取得することができなくなります。