法律実務家になって数々の事件解決にあたっていると,潜在的には大きな社会問題になっているだろうけれど,まだ顕在化していない(社会問題として位置づけられていない)問題だなと感じることが多々あります。おそらく法律実務家に限らず他人の相談にのる業種の方は多かれ少なかれ同じ感想を抱かれることがあるのではないでしょうか。

 私の場合そのようなことの一つに水路,側溝の転落事故がありました。

 先日(令和元年7月29日)NHK  NEWS WEBを見ていたところ,「用水路や側溝の転落事故 去年1年間で150人以上死亡」という報道があり,この問題についてやっと社会問題化してきたかなと感じています。

 県外はわかりませんが,群馬県でも危険な水路,側溝であるにも関わらず無蓋であるなどの状態を時々みかけます。予算の問題もあると思いますが,危険性が高い箇所から徐々にでも修復して事故をなるべく予防していくことが大切であると思います。

 

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事案の概要

自転車を運転していた男性が道路脇水路に転落し死亡。遺族が損害賠償を求めて地方公共団体を提訴した。

 

結論

判決は,水路有蓋部分から無蓋部分への自転車等の転落の危険が生じていたことを認め,水路等が通常有すべき安全性を欠いていた瑕疵があることを肯定。

地方公共団体に対し遺族への賠償を命令した。

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事実関係の概要
 薬剤師として勤務していたAさんは,始業時刻前及び昼休みの時間帯にも働いていたことなどを理由に未払残業代及び付加金の支払等を裁判で請求しました。
 他方,薬局側は変形労働時間制が採用されていることなどを理由にAさんの求めている残業代の支払を拒絶しました。

  *付加金・・・使用者が,時間外の割増賃金(いわゆる残業代)等の支払義務に違反した場合等には,裁判所は,労働者の請求により,使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。(労働基準法114条)
  *変形労働時間制・・・1週間40時間・1日8時間の労働時間に関する規制を一定期間にわたって変形して(平均化して)所定労働時間を設定することを認める制度。制度採用のためには複数の条件を満たす必要がある。
            *制度が複雑なため後日ブログで解説予定です。
問題になった点
 ①始業時刻前の労働時間該当性
 ②昼休みの時間帯の労働時間該当性
 ③変形労働時間制の適用の有無
 ③付加金支払請求が認められるか  など

結論
 裁判所は,
 ①始業時刻前の労働時間該当性を認め
 ②昼休みの時間帯の労働時間該当性を一部認め
 ③変形労働時間制は本件では適用されないと判断し
 ④薬局側が変形労働時間制の採用が認められないにもかかわらず,変形労働時間制の採用を前提とした主張を繰り返し,Aさんの未払残業代の請求に応じなかったこと等を理由に未払いの残業代の他,付加金の支払を認めました。

新年あけましておめでとうございます。
昨年11月1日に高崎事務所は開所から1年を迎えました。
開所から僅か1年間ではございますが,高崎を始め,前橋,藤岡,富岡その他近隣地域からもご依頼頂き,まだまだ微力ながら事件解決をとおして地域に貢献することもできました。
本年も弁護士法人中央法律事務所高崎事務所は全力疾走で駆け抜けていきたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

【歩行者対自動車の交通事故において,当初自動車側保険会社から提示された示談内容を約170万円上回る示談が成立した事例】を解決事例に追加しました。

・事実関係の概要
 本件は,歩行者対自動車の交通事故でした。
 具体的には,主婦である依頼者が横断歩道歩行中に加害者の運転する自動車に轢かれ,頭部打撲,頚部捻挫,肩関節挫傷等の傷害を負いました。
 通院が終わったところで加害者側保険会社から示談内容の提示がなされましたが,依頼者はこの内容に不明な点等があり,弁護士に依頼しました。
 なお,依頼者は契約していた保険(弁護士費用特約)で,弁護士費用を賄えたため弁護士費用は自己負担する必要がありませんでした。

・解決内容
 弁護士が,病院のカルテを取り寄せる等各種調査を行い検討したところ,加害者側保険会社が提案した示談内容の金額が事実関係等からして低いと思われました。
 弁護士が,各種資料を基に損害計算を行った上で加害者側保険会社に対して損害賠償請求を行いました。
 その結果最終的には訴訟手続きを経ずに,当初の加害者側保険会社の示談内容の提示を約170万円上回る内容で示談することができました。

【遺産分割協議を拒否され,遺産の有無も分からなかった状態から,調停手続を経た結果,数千万円の遺産を取得できた事案】を解決事例に追加しました。

     相続人の一人であるAさんが,長期にわたり被相続人の遺産を全て管理し,遺産分割に応じてこなかったため,依頼者は,被相続人の遺産がどれくらいあるのか全く分からないという状況でした。
 弁護士が調査したところ,数千万円の預貯金が遺産として残っていることが判明したほか,被相続人が亡くなる前に多額の金銭が,ATMで被相続人の口座から払い戻されていることが判明しました。
 弁護士が,被相続人の通帳を管理していたAさんに連絡を取ったところ,Aさんは,被相続人が亡くなる前に,被相続人の預貯金を払い戻したことを認めました。しかし,遺産分割には応じなかったため,家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。
 弁護士は,遺産分割調停の中で,調停委員に対し,これまで依頼者が遺産分割手続の中から除外されてきたこと,被相続人が亡くなった時点で数千万円の預貯金が残っており,そのほかにAさんが被相続人が亡くなる前に多額の金銭を払い戻したことを説明しました。その結果,Aさんが依頼者に対し,①被相続人が亡くなった時点における預貯金の法定相続分に相当する金額に加え,②被相続人が亡くなる前にAさんが被相続人の預貯金を払い戻していたことを加味して,数百万円の金銭も支払うとの調停案が提示されました。
 Aさんはこれを承諾し,第2回の調停期日という早い段階で遺産相続問題が解決しました。