法律Q&A
遺産分割協議前に亡くなった方の預金の払い戻しを行なうことができるか
金融機関が、口座開設者が亡くなったことを把握すると、亡くなった方名義の預金を凍結します。
そして、亡くなった方の預金は相続人の準共有となるため、相続人全員の合意がない限り、払い戻しを行なうことはできないのが原則です。
ただし、各相続人は、預金債権の3分の1に法定相続分を乗じた額の限度で、単独で、亡くなった方の預金の払い戻しを行なうことが可能です(民法909条の2)。
そのため、相続人は、遺産分割協議前の段階において、一定の限度で、単独で亡くなった方の預金の払い戻しを行なうことが可能です。
相続人が、民法909条の2の規定に基づいて払い戻しを行なった場合、遺産の一部を分割取得したものとして扱われるため、遺産分割における取得分は、払い戻しを行なった分だけ減少します。
なお、相続人の払戻金額が、相続分を超過する場合には、遺産分割において超過分を精算することを要します。