法律Q&A
相続放棄をした上で、亡くなった方の特定の財産のみ取得することはできるか
相続放棄は、亡くなった方の財産と債務も一切承継しないこととするための手続きです。
そのため、相続放棄を行なう場合に、亡くなった方の財産を取得することはできません。
しかし、被相続人に多額の債務があるため相続放棄をしたものの、遺産である自宅不動産に居住しており、自宅不動産のみ取得を希望することもあるかと思います。
この場合、相続放棄をした上で、相続財産清算人を選任し、相続財産清算人から特定の財産を買取ることが考えられます。
相続財産清算人とは、相続人がいない亡くなった方の財産を清算する業務を行なう者で、亡くなった方の財産を処分する権限を有します。
相続財産清算人から特定の財産を取得する場合には、相続財産清算人選任の申立て費用や特定の財産の取得するための費用がかかるため、相続する場合と比較して経済的メリットがあるかは慎重に検討する必要があります。
なお、被相続人に多額の債務がある場合、遺産である不動産等に担保が設定されていることが想定されますので、注意が必要です。
また、次順位の相続人がいる場合、相続放棄を行なうと次順位に相続権が移転し、相続財産清算人を選任することができないため、この点も注意を要します。