法律Q&A
認知症の方が遺言書を作成することができるか

遺言書を作成するためには、遺言の内容を把握し、遺言によりどのような効果が発生するかを理解できる能力(遺言能力といいます)が必要です。
認知症に罹患していたとしても、遺言能力が認められる場合には、遺言を作成することはできます。
遺言能力の有無の判断は、遺言書作成者の精神上の障がいの有無・内容・程度だけでなく、遺言書の内容、遺言書作成の動機や遺言書作成に至る経緯等の事情も考慮してなされます。
そのため、遺言書の作成者が認知症であることや認知症の程度のみで遺言能力の有無が決するわけではありません。
例えば、遺言の内容が複雑な場合にはより高度な能力が要求されます。
遺言者の作成者が遺言当時に認知症であった場合、相続開始後に遺言能力の有無が問題とされることは少なくありません。
そこで、認知症に罹患された方が遺言書を作成する場合は、証人の立会いを要する公正証書遺言の方式を用いる必要性が高いといえます。
また、遺言の内容は簡単なものにした方が、遺言能力が無効とされるリスクを低減することができます。
そして、遺言を作成することとした経緯や動機を遺言書の付言事項として記載することで、遺言能力があったこと示す事情となることもあります。