解決事例
【未払残業代2年分の他,その約50%相当額の付加金の支払が判決により認容された事例】

事実関係の概要
 薬剤師として勤務していたAさんは,始業時刻前及び昼休みの時間帯にも働いていたことなどを理由に未払残業代及び付加金の支払等を裁判で請求しました。
 他方,薬局側は変形労働時間制が採用されていることなどを理由にAさんの求めている残業代の支払を拒絶しました。

  *付加金・・・使用者が,時間外の割増賃金(いわゆる残業代)等の支払義務に違反した場合等には,裁判所は,労働者の請求により,使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか,これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。(労働基準法114条)
  *変形労働時間制・・・1週間40時間・1日8時間の労働時間に関する規制を一定期間にわたって変形して(平均化して)所定労働時間を設定することを認める制度。制度採用のためには複数の条件を満たす必要がある。
            *制度が複雑なため後日ブログで解説予定です。
問題になった点
 ①始業時刻前の労働時間該当性
 ②昼休みの時間帯の労働時間該当性
 ③変形労働時間制の適用の有無
 ③付加金支払請求が認められるか  など

結論
 裁判所は,
 ①始業時刻前の労働時間該当性を認め
 ②昼休みの時間帯の労働時間該当性を一部認め
 ③変形労働時間制は本件では適用されないと判断し
 ④薬局側が変形労働時間制の採用が認められないにもかかわらず,変形労働時間制の採用を前提とした主張を繰り返し,Aさんの未払残業代の請求に応じなかったこと等を理由に未払いの残業代の他,付加金の支払を認めました。